こんにちは。
30代で保育士デビューをして、現在は小児科で病児保育士をしている「かもん」です。
突然ですが、保育士って聞いてどんなイメージがありますか?
「激務」「給料が安い」「人手不足」
こんなイメージの人って結構多いと思います。
今回は保育士の給料が安い理由や今後待遇が改善されるかをまとめてみました。
なんで保育士って給料が安いの?
どうしたら保育士で収入を増やせるのかな・・
保育士の給料事情を一緒に見てみるケロ~
まずはしっかり現実を確認!
保育士の給与の安さは、世間でも問題にされるようになってきています。
保育士として働くうえで、収入の低さや待遇の悪さが不安な人はたくさんいますよね。
この記事を読めば、国の保育士への支援策や待遇改善を知ることで安心して保育士のキャリアを積むことができます。
この記事を読んでわかること
- 保育士の給料事情
- 保育士の給料が安い理由
- 今後保育士の待遇はどうなる
- 保育士が給料を増やすためにできること
保育士の給料は安い?
保育士の給料は安い!
とよく言われますが、実際の収入はどれくらいなのでしょうか?
ほかの業種と比べるとどうなんでしょう。
ここでは厚生労働省が公表しているデータをもとに解説しようと思います。
保育士の平均給与は?【民間・公立】
職種別職員1人当たりの給与月額
職種 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
施設長 | 545,053円 | 532,097円 |
主任保育士 | 496,623円 | 383,029円 |
保育士 | 287,431円 | 255,415円 |
保育補助(無資格) | 157,953円 | 183,948円 |
※給与には、月額給与の他、賞与の年額の1/12が含まれる。
このデータから、公立の保育士の方が私立よりも給与は高いことがわかります。
給与以外にも公立の保育士は各自治体が雇用している公務員となるため、福利厚生や昇給などの面でもしっかりとした保証があります。
公立の保育士はその待遇の良さや安定から大変人気で、地域によっては倍率は10倍を超えることもあります。
他業種全体との給与の比較
それでは保育士と他業種の給与を比較してみましょう。
全職種の平均月収が「41.7万円」なのに対して、保育士の平均月収は「30.3万円」というデータが公表されています。
えっ!30万円もあるならそこまで給料低くないじゃない。
これは月収(12ヶ月分)+ボーナス+その他特別手当の合計を12で割ったものなんです・・
じゃあ実際の月収はどれくらいなの?
次の表にまとめてるケロ~
保育士の月収目安(税込み)
平均年齢 | 勤続年数 | 現金給与額 | |
---|---|---|---|
保育士(全体) | 36.7年 | 7.8年 | 24.4万円 |
保育士(女) | 37.0年 | 7.9年 | 24.3万円 |
保育士(男) | 31.9年 | 6.2年 | 26.4万円 |
※現金給与額には、基本給、職務手当、精皆勤手当、家族手当が含まれるほか、時間外勤務、休日出勤等超過労働給与も含まれる。
この表からわかることは、
- 男性の方がすこし給料高め
- 男性の平均年齢・勤勤続年数の方がが低いため、男性のほうが早い段階で離職している
- 手取り額=「現金給与額」×0.8で参考値をだすと、保育士全体で平均手取りは「19.5万円」
給料の安さに見切りをつけて、保育士から一般企業に転職する人もたくさんいるのが現実です・・
他の職業との収入の比較
それでは具体的に他の職種との収入を比較してみましょう。
主に資格が必要で、女性も全体の割合として多く活躍している仕事を比較してみました。
職業 | 平均年齢 | 平均年収 |
---|---|---|
保育士 | 36.7歳 | 363万円 |
幼稚園教諭 | 34.3歳 | 366万円 |
高校教諭 | 43.7歳 | 709万円 |
医師 | 40.7歳 | 1170万円 |
薬剤師 | 39.4歳 | 561万円 |
看護師 | 39.5歳 | 483万円 |
歯科衛生士 | 34.9歳 | 370万円 |
ホームヘルパー | 48.9歳 | 327万円 |
美容師 | 31.2歳 | 311万円 |
栄養士 | 35.4歳 | 356万円 |
プログラマー | 33.8歳 | 425万円 |
パティシエ | 40.2歳 | 340万円 |
このように他の資格職と比べて、収入がよいとは言えません。
命を預かる仕事としてよく比較される「看護師」との格差はかなりのものです。
国家資格もあって大変な責任もある仕事なのに・・
仕事量や精神的負担が大きい仕事にしては、収入が低すぎるという点は保育士の人手不足を年々深刻にしている原因の一つです。
保育士の給料がずっと安い理由
保育士の収入が低いということは、データを見てもはっきりとわかります。
では保育士の収入はなぜずっと低いままなんでしょうか?
理由は以下の3つです。
- 公定価格制度で保育所の収入が限られている
- 女性の多い仕事のため、男女格差や非正規での雇用の多さが影響している
- 保育士の仕事に対する社会的な評価が低い
それでは一つずつ説明します。
公定価格制度
私立の保育園での保育士の給料のおおもとは国からの補助金です。
この補助金は国の定める「公定価格」を基準として計算され決定します。
私立保育園は、この公定価格を基準として市町村から委託費を受け取り 運営されています。
「公定価格」とは、国が定める子供一人当たりに必要な費用をいいます。
問題はこの公定価格が保育の現場の実態に合っていないということです・・
詳しく説明します。
国が定める配置基準は以下の通りです。
年齢 | 園児数 | 保育士数 |
---|---|---|
乳児(0歳児) | 3人 | 1人 |
1.2歳児 | 6人 | 1人 |
3歳児 | 20人 | 1人 |
4・5歳児 | 30人 | 1人 |
国からの補助金はこの配置基準に沿って計算されます。
しかし実際は、この人数より多くの職員で保育を行っていることがほとんどです。
配置基準上では保育士10人で運営できる保育園には10人分の補助金が支給されますが、実際に働いている保育士が20人の場合、10人分の補助金を20人で分けなければなりません。
保育士の公定価格と現実の違い(例)
これでは人件費が十分とは言えませんよね。
そのため、国が定める保育士の配置基準と実際に保育現場で働く保育士との人数の差が、保育士の給与を低くしてしまっている原因の一つとなっています。
私立保育園のもう1つの収入源である保護者からの保育料も、自治体によって定められた最低ラインの金額のため人件費を支えるような大きな収入にはなりません
男女格差や非正規での雇用の多さ
保育士の仕事に従事している人は、男性に比べると女性が圧倒的に多いです。
「子どもの保育をする」という点で、昔から家庭で子育てを担っていたのは女性が多く、その流れで「保育=女性の仕事」とする傾向が日本では根付いていたからです。
2003年に保育士資格が国家資格としてできたケロよ
近年では男性保育士も活躍するようになっていますが、その数は女性と比べるとまだまだ少数といえます。
女性はどうしても結婚や出産などで退職をせざるを得ないことが多く、子育てが落ち着いてからはパートやアルバイト・派遣社員などの非正規雇用で働く人が多くなります。
非正規雇用は給与水準が低く、福利厚生も正規職員より制約される傾向にあります。
このように非正規雇用が多いことも保育士の給料が低い原因の1つです。
社会的に評価が低い
保育士の仕事は「子どもを保育する」という仕事内容から、「子育ての延長」という認識になりがちです。
実際は責任が重く多くの経験や知識が求められる仕事にもかかわらず、その専門性が軽視されてきた背景があります。
近年では保育士の仕事の重要性や待遇の悪さが表面化してきて、少しずつ社会的な評価も改善しつつありますが、まだ一部では保育士の社会的評価は低いままとなっています。
これも保育士の給料が低い原因の一つとなっています。
子育てがどんなに大変か知らない人たちが作り上げた社会的評価ですね!
保育士の給料は安いのが当たり前といわれる理由
保育士の給料が安い理由を説明してきましたが、ではなぜそれが「当たり前」だと世間では思われがちなのでしょうか?
理由は以下の3つです。
- 仕事の重要性が理解されていない
- 保育士資格の取得が簡単だから
- 利益を求める仕事ではない
一つずつ説明していきます。
仕事の重要性が理解されていない
保育士の仕事を「子育ての延長」として軽視する人は、残念ながら一定数存在します。
家庭で行う子育てだって本当に大変です。
保育士の仕事は、「他人の子供の命を預かる」というだけでもとっても責任の重い仕事です。
それだけでなく、子ども一人一人の特性を理解したうえで個人に適した保育をその都度行っていかなければならず、高い専門性と知識が必要とされます。
現実には保育士の仕事の大変さが給料に反映されず、ずっと低水準のままとなっています。
保育士資格の取得が簡単だから
保育士の資格は比較的簡単に取得できます。
その理由としては、大学や専門学校を卒業すれば試験を受けなくても保育士資格が取得できるからです。
大学や専門学校以外では、保育士試験を受けて合格する方法もあります。
こちらは合格率が毎年約20%程度となっています。
受験資格の条件も厳しいものではないため、社会人になってからでも保育士資格を取得することは十分可能です。
こういったことから保育士になることは難しくないとされ、給料も安くて仕方ないと思われがちです。
利益を求める仕事ではない
保育園は一般企業のように利益を出すことを第一に運営されていません。
保育園の運営は国からの補助金や保育料をもとに行われます。
保育料も各自治体によって決められています。
そのため私立の保育園であっても保育料をやみくもに高く設定したりできません。
それだけでなく保育士の仕事自体が利益重視ではなく、奉仕の精神でするものとしてとらえられることが多いのも事実です。
奉仕の精神で献身的に仕事をして疲れてしまう保育士さん。
もっと報われてほしいケロ~
国が進める保育士の待遇改善とは
ここまで保育士の給与が低い!待遇が悪い!社会の評価が低い!
とネガティブな話が続きましたが、近年、国も保育士の待遇改善に動き出し始めています。
国が進める3つの待遇改善
- 給与の改善(民間保育園)
- 働く環境の改善
- 学生への就学資金を支援
ひとつずつ見ていきましょう。
給与の改善(民間保育園)
「保育士=子どもたちの命を守る大事な仕事」であり、国家資格を必要とする専門性の高い職種。
その重要性が改めて見直され、保育士の給与の見直しを行うとしています。
具体的には、平成25年度以降、ひとりあたり約14%(月額約4万4千円)の給与改善をおこなっています。
加えて、個人の技能や経験に応じて、月に最大4万円給与が上がっています。
さらに、令和4年2月から収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置も始まりました。
給料アップは純粋に仕事のモチベーションが上がりますよね!
もっと上がることを期待!!
働く環境の改善
保育士の仕事は子供の保育だけではありません。
書類作成・製作物準備・保護者対応・会議参加などなど・・
業務負担を軽減するため、働く環境の改善を2つの面から行っています。
①「保育補助者」という保育士のサポート役を保育園に採用する体制を応援
→これまで1人が担当していた業務を、複数人で分担できるようになる
② ICT(情報通信技術)の活用
→書類作成などの事務作業を効率的にする
学生への就学資金を支援
都道府県等を通じて将来保育士を目指す学生向けの支援も行っています。
- 保育士養成施設に通う人は、就学資金として月額5万円(最大120万円)を都道府県から借りることができる
- 卒業後、資金のサポートを受けた都道府県にある保育所等で5年間勤務すると、返済が免除される
学生が安心して学業に専念できるように環境を整えています。
今後保育士の給料は増える?
厚生労働省の進める3つの待遇改善や配置基準の見直しなどで、今後保育士の給料は上がっていくことが期待できます。
保育の質を高めることや保育士の離職率を下げるなど、国としても保育士の様々な問題を改善しようと動き出しています。
給与だけでなく、保育士の働きやすさや社会的評価の向上など、保育業界全体がよりよくなっていくことを切に願うばかりです。
保育士の待遇改善には、世間の声の影響も大きいんじゃ。
子供の保育がいかに大変で責任が重い仕事なのかを、保育士だけでなく子供を持つ親御さんや子育て経験者が理解し声を上げてくれることも増えてきたんじゃよ。
保育士の仕事を理解してくれて、待遇改善を願ってくれる人たちがいるってことはありがたいですね!
保育士が給料を増やすためにできること
では保育士の給料を増やすために、個人ができることはどんなことでしょうか?
- 管理職を目指す
- 公立の保育園に就職する
- 給与や待遇が良い保育園に転職する
一つずつ説明します
管理職を目指す
自分が働く保育園で、管理職を目指すというのが収入アップの方法の一つです。
先ほど紹介した「職種別職員1人当たりの給与月額」を見ていただくとわかるように、園長や主任保育士になると収入はぐんと上がります。
保育園の内情をよく知ったうえで、管理職を目指そうと思える職場であれば、昇進することを目標にするといいかもしれません。
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公立の保育園に就職する
公立の保育園に勤務する保育士は、各自治体の公務員となります。
そのため給与や福利厚生の点で、私立よりもかなり優遇されています。
倍率は高く就職のハードルは高いですが、安定して高収入を得ることができ昇給や有休などもしっかりとることができるので一度挑戦してみる価値はあると思います。
給与や待遇が良い保育園に転職する
最も簡単に収入を上げる方法は、給与や待遇などの良い保育園に転職するということです。
転職エージェントを利用すれば、自分の重要視する条件をアドバイザーに伝えることで希望の転職先を見つけてくれます。
ずっと上がらない給料やサービス残業に耐えながら、精神的・肉体的にどんどん疲労がたまっていくよりも、より働きやすい職場に転職するほうが心と体の健康は保てます。
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まとめ:保育士の待遇は今後よくなっていく傾向
保育士の給料は現状では他の業種よりも低い傾向です。
しかし、世の中の保育士に対する評価や必要性は確実に昔よりもよくなってきています。
子供たちのために日々がんばっている保育士さん!
毎日の激務で心身に無理がいかないよう、時には違う保育園に転職したり一般企業に転職することも自分を守るために必要な場合があります。
すぐに転職しなくても、求人をながめて条件に合う就職先に出会えるのを待ってもいいと思います。
まずは自分の心と体の健康を第一に。
自分のことを顧みず献身的に尽してしまう人が多い職業だからこそ、ぜひ報われてほしい!
あなたの保育士ライフが豊かなものになることを切に願っています。
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