
優しくて仕事ができる先生ほど辞めていく気がする……



いつも周りを助けてくれる先生が、突然辞めてしまった。



どうして真面目に働いている人ほど辞めてしまうの?
保育現場で働いていると、このように感じることがあります。
私自身も、周囲のために頑張っていた先生が疲れて退職したり、保護者対応をきっかけに自信をなくして辞めたりする姿を身近で見てきました。
そのため、「保育士はいい人ほど辞める」と感じてしまう気持ちはよくわかります。
ただ、いい人だから辞めるというよりも、真面目で責任感が強い人ほど仕事を引き受けたり、つらいことを我慢したりして、負担を抱え込みやすいことが関係しているのかもしれません。



問題なのはその人の優しさではなく、優しい人や仕事ができる人の頑張りに職場が頼りすぎてしまうことケロ・・
そして、自分自身も同じような状況にいると、
「私もこのまま働き続けて大丈夫かな……」
と不安になりますよね。
この記事では、「保育士はいい人ほど辞める」と感じる理由、いい人が辞めやすい職場の特徴、長く働きやすい園との違い、今の職場を辞めるか迷ったときの考え方まで、実際に保育現場で見てきた経験も交えて紹介します。



順番に見ていきましょう。
「保育士はいい人ほど辞める」と感じるのはなぜ?


「あんなに仕事ができる先生なのに、どうして辞めるんだろう?」
退職すると聞いて、驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
しかし、周囲から「いい先生」に見えている人ほど、見えないところで負担を抱えていることがあります。
責任感が強く仕事を引き受けてしまう
真面目で責任感が強い保育士ほど、
「困っているなら私がやろう」
「子どもたちのためだから」
と仕事を引き受けがちです。
たとえば、
- 急な残業を引き受ける
- 行事準備を手伝う
- 新人のフォローをする
- 難しい仕事を任される
- ほかの先生が終わらなかった仕事を手伝う
などです。
もちろん、職員同士で助け合うことは保育現場ではとても大切です。
しかし、それがいつの間にか、
「あの先生ならやってくれる」
になってしまうと話は変わります。



私の身近な保育現場でも、似たようなことがありました。
職員の欠勤などで保育士が足りず困っているときに、いつも進んで残ってくれる先生がいました。
「私、残れますよ」
と引き受けてくれるので、周囲としてはとても助かります。
ところが、それが何度も続いていくと、いつの間にか「残ってくれる人」として頼られるようになっていました。
しかも、その職場では残って働いても残業代はついていませんでした。
そうやって周囲のために頑張っていた人が、だんだん疲れていき、退職してしまったり、体調を崩してしまったりするのを実際に見てきました。
もちろん、退職や体調不良の理由は一つだけとは限りません。
それでも、「困っているから」と引き受けてくれる人の優しさに、職場が頼りすぎてはいけないと感じます。
誰か一人の頑張りによって保育を回すのではなく、負担が偏らない仕組みを作ることが大切です。
人間関係で我慢することが多い
周囲に気を配れる人ほど、人間関係でも我慢しがちです。
「ここで言い返したら雰囲気が悪くなる」
「私が我慢すれば丸く収まる」
と考えてしまうからです。
たとえば、
- 理不尽に注意されても言い返さない
- 苦手な先生にも合わせる
- 陰口を聞いても黙っている
- 自分の意見より周囲を優先する
- 頼まれると断れない
という状態が続くことがあります。
一度や二度なら我慢できても、それが毎日のことになればストレスは積み重なります。



表面上は笑顔で働いているため、周囲が気づかないことも・・
その結果、退職すると聞いた周囲からは、
「そんなに悩んでいたなんて知らなかった」
「突然辞めるなんて……」
と思われることもあるでしょう。
しかし、本人の中ではずっと前から限界が近づいていたのかもしれません。
保護者対応を一人で抱え込んでしまう
保護者との信頼関係を築くことも、保育士の大切な仕事です。
しかし、ときには自分では納得しにくいクレームや、厳しい言葉を受けることもあります。
特に真面目な保育士ほど、
「私の対応が悪かったのかな」
「もっと違う伝え方をすればよかったのかな」
と、自分を責めてしまうことがあります。
私の身近にも、保護者から理不尽だと感じるクレームを受けてひどく落ち込み、保育士としての自信をなくし、最終的に退職した先生がいました。
それまで一生懸命に子どもたちと関わっていた先生だっただけに、保護者からの言葉によって、ここまで自信をなくしてしまうのかと感じたことを覚えています。
もちろん、保護者からの意見には真摯に耳を傾け、改善すべきことがあれば園として対応する必要があります。
しかし、すべてを担任一人の責任として抱え込ませるのも違うと思います。
難しい保護者対応があったときに、
「あなたの対応が悪かった」
で終わらせるのではなく、園長や主任が間に入り、
「何があったのか」
「園としてどう対応するのか」
を一緒に考えられる環境が大切です。
保護者対応で悩んだときに、一人で抱え込まなくていいことも、保育士が長く働くためには重要だと感じます。
保護者との関係に悩んでいる方は、信頼関係の築き方やクレームを受けたときの対応について、こちらの記事も参考にしてください。
→【保育士の保護者対応が苦手…信頼関係を築くコツとクレーム対処法】
子どもを優先して自分のことを後回しにする
保育士は、子どもの安全や気持ちを優先して働く仕事です。
特に子ども思いの先生ほど、
「この子たちのために頑張らないと」
と無理をしてしまうことがあります。
休憩が十分に取れなくても頑張る。
仕事が終わらなくても残る。
体調が悪くても休みにくい。
こうした状態が続けば、少しずつ疲れがたまっていきます。
子どもを大切にすることと、自分を犠牲にすることは同じではありません。
理想の保育と現実のギャップに悩む
保育への思いが強い人ほど、
「一人ひとりの子どもと丁寧に関わりたい」
という気持ちを持っています。
しかし現実には、
- 人手が足りない
- 書類が多い
- 行事準備に追われる
- 保護者対応に時間を取られる
- 子どもとゆっくり関わる余裕がない
ということもあります。
「もっと子どもと向き合いたいのにできない」
という状態が続くと、仕事そのものが嫌いになったわけではなくても、
「この園では自分がしたい保育ができない」
と感じるようになります。
その結果、保育士そのものを辞めるのではなく、別の園や別の保育の仕事へ移る人もいます。
保育士が辞めたくなる理由は、人間関係や仕事量、保護者対応だけではありません。
「ほかの保育士はどんな理由で辞めているの?」と気になる方は、こちらの記事で保育士が退職を考える主な理由を詳しく紹介しています。
いい人が辞めやすい職場には特徴がある
周囲を見て、
「いい先生が次々辞めている気がする」
と感じるなら、辞めた本人だけではなく、職場環境にも目を向けてみましょう。



特に次のような状態が続いている場合は注意が必要です。
仕事ができる人に業務が集中している
仕事の分担が曖昧な園では、
「できる人に頼む」
ことが増えがちです。
行事、書類、新人指導、保護者対応などを、いつも同じ先生が担当していないでしょうか。
本来は職員全体で分担すべき仕事を、一部の先生の頑張りによって回している状態では、長く続けるのが難しくなります。
特に注意したいのが、
「本人がやると言っているから大丈夫」
と考えてしまうことです。



責任感が強い人ほど、自分から「もう無理です」と言えないことがあるケロ!
本人の善意だけに頼らず、管理職が業務量や残業時間などを確認し、負担を調整することが必要です。
「頑張って当然」という空気がある
保育現場では、
「子どものためだから」
という言葉が使われることがあります。
もちろん、子どもを大切にすることは保育士として重要です。
しかし、
「子どものためなら残業して当然」
「行事前なら持ち帰って当然」
「欠勤者が出たら誰かが残って当然」
となってしまうと、職員の負担は増える一方です。
誰かが休んだときに助け合うことと、特定の人がいつも無理をすることは違います。
頑張っている人の善意によって成り立っている職場では、その人が休んだり辞めたりした途端に、さらに別の職員へ負担が移ってしまうこともあります。
意見や「できない」を言いにくい
働きやすい職場かどうかを見るうえで大切なのが、
「困っています」「今日は残れません」と言えるかどうか
です。
「仕事量が多すぎます」
「このやり方を変えられませんか?」
と相談したときに、一緒に考えてくれる職場なら改善できる可能性があります。
反対に、
「みんなやっているから」
「昔からこうだから」
「保育士なら当たり前」
と終わらせてしまう職場では、真面目な人ほど我慢することになります。
「断ったら周囲に迷惑をかける」と思わせるのではなく、無理なときに無理と言える環境が大切です。
辞める人が続いても原因を振り返らない
一人の職員が退職しただけで、「問題のある職場」と判断することはできません。
結婚、引っ越し、家庭の事情、キャリアアップなど、退職理由は人によって違うからです。
ただし、職員が次々と辞めているにもかかわらず、
「最近の保育士は続かない」
「また辞めた」
だけで終わっているなら、一度職場環境を冷静に見てみてもよいでしょう。
業務量なのか。
人間関係なのか。
保護者対応へのフォローなのか。
残業なのか。
職員が辞めたことをきっかけに、職場側が原因を振り返り改善しようとしているかどうかも重要です。
いい人が辞めにくい・長く働きやすい園の特徴
「いい人ほど辞めるなら、どこの園でも同じなのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、園によって働き方や職員へのフォロー体制は異なります。
大切なのは「辞める人が一人もいない園」を探すことではなく、誰か一人の我慢や善意に頼らなくても仕事が回る環境かどうかです。
業務分担が明確になっている
働きやすい園では、
「気づいた人が全部やる」
ではなく、誰が何を担当するのかがある程度決まっています。
さらに、忙しい人がいれば周囲がフォローするなど、状況に応じて調整できることも大切です。
園見学をするときには、
「行事準備はどのように分担していますか?」
「書類を書く時間は勤務時間内にありますか?」
など、実際の働き方を質問してみるのもおすすめです。
困ったことを相談できる
人間関係や保護者対応など、保育士として働いていれば困ることはあります。
だからこそ重要なのは、問題が起きたときに相談できることです。
園長や主任が話を聞いてくれる。
同僚に「手伝って」と言える。
難しい保護者対応を一人で抱え込まなくていい。
こうした環境なら、問題が起きても深刻になる前に対応しやすくなります。
特に保護者対応については、担任一人に任せるのではなく、必要に応じて主任や園長が一緒に対応してくれる園だと安心感があります。



信頼できる上司がいると安心して仕事に取り組めますね。
園長や主任が現場を理解している
働きやすさは、園長や主任の考え方にも左右されます。
たとえば、
- 忙しいときは現場をフォローする
- 職員の話を聞く
- 業務が偏っていないか確認する
- 保護者対応を一人に任せない
- 改善案を頭ごなしに否定しない
などです。
「何を言っても無駄」
と感じる職場と、
「困ったら相談してみよう」
と思える職場では、働き続けやすさも変わります。
休憩・残業・持ち帰りが当たり前になっていない
求人票だけではわかりにくいのが、実際の残業や休憩の取りやすさです。
特に、
「みんな自主的に残っている」
「タイムカードを押してから仕事をする」
「書類は家でやる」
という状態が当たり前になっているなら注意が必要です。



私自身も以前、退勤のタイムカードを押してから残業をさせられた経験があります。
その職場にいると、それが当たり前のように感じてしまうことも・・。
しかし、職場が変われば働き方も変わります。
残業代が出ない理由や、サービス残業が疑われる場合の対処法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
「私も辞めた方がいい?」と思ったときに確認したいこと
周囲の先生が次々と辞めると、
「私も辞めた方がいいのかな」
と不安になりますよね。
ただ、同僚が辞めたからという理由だけで、自分もすぐに辞める必要はありません。



まずは、自分が何に困っているのかを整理してみるのじゃ。
まず「何がつらいのか」を具体的にする
「仕事がつらい」
だけでは、解決方法が見つけにくくなります。
たとえば、
- 残業が多い
- 人手不足で休めない
- 特定の先生との人間関係がつらい
- 保護者対応を一人で任される
- 休憩が取れない
- 保育方針が合わない
- 給料に納得できない
など、できるだけ具体的にしてみましょう。
原因がわかれば、
「今の園で改善できそうなのか」
「職場そのものを変えないと難しいのか」
も判断しやすくなります。
辞めたい理由を整理してみると、「保育士そのものが嫌なのではなく、特定の仕事がつらい」と気づくこともあります。
たとえば、ピアノが大きな負担になっている方は、こちらの記事も参考にしてください。
→【保育士だけどピアノが弾けない…辞めたいときの対処法と働き方】
一度相談して改善するかを見る
相談できそうな環境なら、まず園長や主任に伝えてみる方法があります。
ポイントは、
「大変です」
だけではなく、
「欠勤者が出るたびに残業が増えています」
「行事準備が一部の職員に偏っています」
「保護者対応を一人ですることに不安があります」
など、何に困っているのか具体的に伝えることです。
相談した結果、業務を調整してくれたり、管理職がフォローに入ってくれたりするなら、すぐに辞めなくても状況が改善する可能性があります。
自分の中で「ここまで」というラインを決める
真面目な人ほど、
「もう少し頑張ろう」
を繰り返してしまいます。
だからこそ、自分の中で基準を作っておくことも大切です。
たとえば、
- サービス残業を当たり前にしない
- 休日まで仕事を持ち込まない
- 無理な残業は毎回引き受けない
- 難しい保護者対応を一人で抱え込まない
- つらいことを相談せず我慢し続けない
などです。
自分を守るための線引きをしたからといって、責任感のない保育士になるわけではありません。



長く保育の仕事を続けるためにも、自分自身の働き方を守ることは大切です。
改善されないなら職場を変えることも考える
相談しても何も変わらない。
仕事の偏りも改善されない。
サービス残業が続いている。
難しい保護者対応でも助けてもらえない。
職員が次々と辞めている。
このような状態なら、今の園だけにこだわらず、ほかの職場を見ることも選択肢になります。
ここで一度考えてほしいのが、
「保育士を辞めたい」のか、「今の職場を辞めたい」のか
ということです。
園が変われば、職員配置、行事、残業、人間関係、管理職、保育方針なども変わります。
「子どもと関わる仕事は好き」
「保育そのものは嫌いではない」
という気持ちが残っているなら、保育士そのものを辞める前に、違う環境を見てみる方法もあります。
次こそ長く働ける園を選ぶためのポイント
転職する場合は、「今の職場から離れること」だけを目的にしないことが大切です。
次の職場でも同じ悩みを繰り返さないよう、今の職場で何がつらかったのかを基準に求人を見ていきましょう。
求人票だけで判断しない
給与や年間休日はもちろん大切です。
しかし、それだけでは実際の働きやすさまではわかりません。
確認したいのは、
- 職員配置
- 残業や持ち帰り仕事
- 休憩の取り方
- 行事の多さ
- 有給休暇の取りやすさ
- 保護者対応のフォロー体制
- 園長や主任の考え方
- 職員の定着状況
などです。
今の園でつらかったことを書き出して、
「次の職場では、これだけは譲れない」
という条件を2〜3個決めておくと、求人を選びやすくなります。
園見学では職員の様子を見る



園見学では、建物や設備だけでなく、働いている先生の様子も見てみましょう。
職員同士が自然に声をかけ合っているか。
先生の表情に余裕があるか。
園長や主任と職員が話しやすそうか。
子どもへの声かけが丁寧か。
見学だけですべてを判断することはできませんが、実際の雰囲気を知る材料にはなります。
また、
「書類を書く時間はどのように確保していますか?」
「急な欠勤が出たときはどのように対応していますか?」
「難しい保護者対応では園長や主任も対応しますか?」
「行事準備はどのように分担していますか?」
など、今の職場で困ったことをそのまま質問に変えるのもおすすめです。
自分では聞きにくいことは第三者から情報を集める
転職先を探すとき、
「残業は実際どのくらいありますか?」
「持ち帰り仕事はありますか?」
「最近辞めた先生は多いですか?」
などは、自分から園に聞きにくいですよね。
そんなときは、保育士向け転職サービスなどを利用して情報を集める方法もあります。
ただし、転職サービスによって求人地域やサポート方法、得意とする求人などは異なります。
「今の園以外も見てみたい」
「働きやすい園にはどんな求人があるのか知りたい」
という方は、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ|いい人の頑張りに頼る職場になっていないか考えよう


「保育士はいい人ほど辞める」と感じる背景には、真面目で責任感のある人ほど仕事を引き受けたり、人間関係や保護者対応で我慢したりして、負担を抱え込みやすいことがあります。
私自身も、困っている職場のために進んで残っていた先生が疲れて辞めたり、保護者からのクレームで自信をなくして退職したりする姿を見てきました。
だからこそ大切なのは、
「もっと頑張れる人を探すこと」ではなく、「誰か一人が頑張り続けなくても回る職場にすること」
だと思います。
業務を分担できる。
困ったときに相談できる。
保護者対応を一人で抱え込まなくていい。
残業や持ち帰り仕事を当たり前にしない。
こうした環境なら、真面目で優しい保育士も無理をしすぎず働き続けやすくなります。
もし今、
「もう保育士を辞めたい」
と思っているなら、一度、
「保育士そのものを辞めたいのか、それとも今の職場を辞めたいのか」
を分けて考えてみてください。
保育の仕事は好きなのに、今の環境がつらいだけなら、職場を変えることで働きやすくなる可能性もあります。
周囲のために頑張ることは素敵なことです。
でも、誰かのために頑張り続けて、自分が働けなくなるほど無理をする必要はありません。
自分自身も大切にしながら、無理なく保育を続けられる環境を考えてみてください。









