
私が寝かしつけをすると嫌がられる……



ほかの先生ならすぐ寝るのに、どうして?



トントンしても全然寝てくれない……
保育士として働いていると、寝かしつけがうまくいかず悩むことがありますよね。
一生懸命寝かせようとしているのに、子どもが泣いたり、何度も起き上がったりすると、
「私の寝かしつけが下手なのかな……」
と自信をなくしてしまうこともあると思います。
でも、寝かしつけを嫌がられるからといって、必ずしも保育士の寝かしつけが下手なわけではありません。
私は現在、病児保育で働いており、毎日のようにいろいろな子どもの寝かしつけをしています。
その経験から感じるのは、寝かしつけには「この方法なら絶対に寝る」という一つの正解はないということです。
大切なのは、無理に寝かせようとするのではなく、その子の呼吸や表情、体勢などを観察しながら、心地よく眠れる方法を探していくこと。
この記事では、保育士の寝かしつけを嫌がる理由や、寝かしつけがうまくなる7つのコツ、私が病児保育で実際に意識していることを詳しく紹介します。



「寝かしつけが苦手……」と感じている保育士さんは、ぜひ参考にしてください。
保育士の寝かしつけを嫌がられるのはなぜ?


まず知っておきたいのは、子どもが寝かしつけを嫌がる理由は一つではないということです。
「自分だから嫌がっている」と考えてしまいがちですが、子どもの体調や気分、その日の過ごし方など、さまざまなことが影響します。
いつも寝かしつけてくれる先生と違う
子どもにとって、眠ることはとても無防備な状態になることでもあります。
そのため、
「いつもは○○先生がトントンしてくれる」
「いつもの先生の隣なら安心できる」
という子もいます。



担当する保育士が変わっただけで、なかなか眠れなくなることも珍しくありません。
特に入園したばかりの子や、特定の保育士との関係が深い子は、いつもと違う保育士の寝かしつけを嫌がることもあります。
これはあなたの寝かしつけが下手だからとは限りません。
まずは「いつもと違うから不安なのかもしれない」と考えてみましょう。
保育士との信頼関係がまだできていない
子どもによっては、慣れていない保育士に触れられること自体を嫌がる場合もあります。
その状態で一生懸命トントンしても、かえって落ち着かないことがあります。
寝かしつけの時間だけ頑張るのではなく、普段の遊びや食事、着替えなどを通して少しずつ関係を作っていくことも大切です。
「この先生と一緒にいると安心できる」
と思えるようになると、寝かしつけも少しずつ変わってくることがあります。
子どもが特定の保育士に抱っこを求めたり、「この先生じゃないと嫌」となったりすることもありますよね。
特定の保育士ばかりに抱っこを求める理由や、どこまで応えていいのかについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→【保育士の抱っこはどこまでOK?特定の先生ばかり求める理由と対応を見る】
「寝かせよう」という焦りが伝わっている
これは私自身も寝かしつけで特に意識していることです。
「早く寝てほしい」
「ほかの子はもう寝たのに」
「次の仕事をしないと……」
と考えると、知らないうちにトントンが速くなったり、力が入ったりすることがあります。



保育士が焦るほど、子どももなかなか落ち着かなくなるケロ~
寝かしつけがうまくいかないときこそ、まず保育士自身がゆったりした気持ちになることが大切です。
そもそもまだ眠くない
どれだけ寝かしつけが上手な保育士でも、子どもが眠くなければすぐには眠れません。
朝起きた時間や午前中の活動量、年齢、体調などによっても眠くなるタイミングは違います。
と考えるのではなく、その子の様子を見ることも必要です。
目をこする、あくびが増える、動きがゆっくりするなど、眠くなってきたサインを観察してみましょう。
寝かしつけが上手になる7つのコツ


では、寝かしつけをするときは何を意識すればよいのでしょうか。
私が実際に子どもを寝かしつける中で大切だと感じていることも含めて、7つ紹介します。
1.「寝かせなきゃ」と焦らない



私が一番大切だと思っていることです。
寝ない子を目の前にすると、
「早く寝かせないと」
と思ってしまいますよね。
でも、そんなときほど私は、
「寝られないなら、それでもかまわないよ」
くらいの気持ちで寄り添うようにしています。
もちろん園の生活リズムや午睡時間を意識する必要はあります。
それでも、保育士自身が「絶対に寝かせなければ」と力んでしまう必要はありません。
まずは子どもが安心して横になって休めることを考えてみましょう。



保育士の気持ちに余裕ができると、声や動きも自然とゆったりしてきます。
2.子どもと「波長を合わせる」
寝かしつけでは、こちらのペースに子どもを合わせるのではなく、保育士が子どものペースに合わせていくことを意識しています。



私はこれを「子どもと波長を合わせる」と考えています。
例えば、子どもの呼吸。
眠りに近づいてくると、呼吸や体の動きが少しずつ変わってくることがあります。
そのリズムを感じながら、こちらの動きもゆったりさせていきます。
「寝かせるために何かをする」というより、
「この子が今どんな状態なのかを感じ取る」
というイメージです。
3.その子が好きな体勢を探す
寝やすい体勢も一人ひとり違います。
仰向けが落ち着く子もいれば、自分で横向きになる子もいます。
何度もゴロゴロしながら自分の寝やすい位置を探す子もいます。
保育士が「この姿勢で寝かせよう」と決めてしまうより、子ども自身が落ち着ける体勢を見つけられるように見守ります。
4.トントンのリズムを変えてみる
「寝かしつけ=ゆっくりトントン」
と思っていませんか?
実際には、好むリズムも子どもによって違います。
ゆっくり一定のリズムで落ち着く子もいれば、少しテンポのあるトントンの方が落ち着く子もいます。
また、背中やお尻など、触れられて安心する場所にも違いがあります。
一つの方法で寝なかったからといって、
「トントンしても寝ない!」
と諦める必要はありません。
リズムや場所、触れ方を少しずつ変えながら、その子が落ち着くパターンを探してみましょう。



経験上、寝入り前後は早めのトントン。
ウトウトしてきたらゆっくりめにすることが多いです。
5.子どもの小さな変化を観察する
寝かしつけが上手になるためには、「技術」以上に観察することが大切だと感じています。
例えば、
- 呼吸がゆっくりしてきた
- 体の力が抜けてきた
- 手足の動きが少なくなった
- 目を閉じている時間が長くなった
- トントンすると体の動きが落ち着いた
といった変化です。
「今の方法で少し落ち着いているな」
と感じたら、急にリズムを変えず、そのまま続けてみます。
反対に、触れるたびに体を動かしたり嫌がったりするなら、別の方法を試してみます。



子どもの反応を見ながら調整することがポイント!
6.一つの寝かしつけ方法にこだわらない
同じ方法ですべての子が寝るわけではありません。
トントンが好きな子もいれば、そっとそばにいるだけの方が落ち着く子もいます。
「昨日はこれで寝たのに今日は寝ない」
ということだってあります。
一つの方法でうまくいかなければ、
「この子には今、この方法じゃないのかも」
と切り替えてみましょう。
いろいろなパターンを試せることも、保育士の寝かしつけの引き出しになります。
7.普段の関わりから安心できる関係を作る
寝かしつけだけを上手にしようとする必要はありません。
普段から一緒に遊んだり、話を聞いたり、気持ちを受け止めたりすることも寝かしつけにつながっています。
日中に安心して関われる保育士になることで、
「この先生のそばなら大丈夫」
と思ってもらえるようになることがあります。
寝かしつけを嫌がられたときは、寝かしつけの方法だけでなく、普段の関わりも振り返ってみましょう。
子どもとの関係を作っていく中では、「なぜかこの子とは関わりやすい」「反対に、この子への関わり方は難しい」と感じることもあります。
保育士にお気に入りの子ができることや、ひいきにならず公平に関わるための考え方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→【保育士にお気に入りの子がいるのはダメ?ひいきとの違いと平等に接するコツを見る】
病児保育でたくさんの子を寝かしつけて感じること
私は現在、病児保育で働いており、毎日のようにいろいろな子どもの寝かしつけをしています。
病児保育では、普段から毎日一緒に過ごしている子どもだけを寝かしつけるわけではありません。
その日初めて会う子もいれば、いつもとは違う場所や保育士に緊張している子もいます。
さらに体調が悪く、いつも以上に不安な気持ちになっていることもあります。
そんな子どもたちをたくさん寝かしつけてきて感じるのが、寝かしつけは「寝かせよう」とするほど難しくなることがあるということです。
だから私は、
「寝られないなら、それでもかまわないんだよ」
くらいの気持ちで、まず子どもに寄り添うことを大切にしています。
そして、子どもと波長を合わせます。
呼吸のタイミングを感じたり、どんな体勢が好きなのかを見たり、トントンのリズムを変えてみたり。
最初に試した方法で落ち着かなければ、別の方法を試します。
「この方法なら絶対に寝る」という正解を押しつけるのではなく、
「この子は何をすると心地よいのかな?」
と探していく感覚です。
そうしていると、
「呼吸がゆっくりになってきた」
「さっきより体の力が抜けてきた」
「このトントンのリズムだと落ち着いている」
という小さな変化が見えてきます。
その変化にこちらも合わせていくと、少しずつ眠りに入っていくことがあります。
だから私は、寝かしつけを嫌がられたからといって、
「自分は寝かしつけが下手」
とすぐに考えなくてもいいと思っています。
その子と自分に合う寝かしつけのパターンが、まだ見つかっていないだけかもしれません。
寝かせることだけを目的にするのではなく、
「この子が安心して休めるようにそばにいよう」
という気持ちで寄り添う。
病児保育でさまざまな子どもを寝かしつける中で、私はそれがとても大切だと感じています。
私が病児保育士になったきっかけや実際の仕事内容については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→【病児保育士になるには?必要な資格・仕事内容を現役病児保育士が解説】
保育士がやってはいけない寝かしつけ


寝かしつけがうまくいかないと、つい焦ってしまいます。
しかし、子どもを早く寝かせようとするほど逆効果になることもあります。



ここでは、寝かしつけで気をつけたい関わり方を紹介します。
無理に寝かせようとする
「寝る時間だから寝なさい」
「みんな寝ているよ」
と強く促しても、子どもが眠くなければなかなか眠れません。
「眠れなくても横になって休もうね」など、安心して体を休められるように関わることも大切です。
強くトントンする
なかなか寝ないと、無意識にトントンが強くなったり速くなったりすることがあります。
子どもの反応を見ながら、心地よい強さやリズムになっているか確認しましょう。
嫌がっている場合は、トントンそのものをやめてみるのも一つの方法です。
「寝なさい」と何度も言う
何度も「寝なさい」と言われると、眠ること自体が嫌な時間になってしまうことがあります。
午睡は子どもが安心して体を休める時間でもあります。
「寝かせる」ことだけに集中しすぎないようにしましょう。
ほかの子と比べる
「○○ちゃんはもう寝てるよ」
「みんな寝ているのに」
と比べる必要はありません。
眠くなるタイミングや眠り方には個人差があります。
その子自身のリズムを見ることが大切です。
寝ないことにイライラする
忙しい保育の中では、寝かしつけが長引くと焦ったりイライラしたりすることもあると思います。
そんなときは、一度自分の呼吸をゆっくりにしてみましょう。
「寝ないならどうしよう」ではなく、
「今は安心して休めればいい」
と考えるだけでも、自分の力が少し抜けることがあります。



イライラは子供に伝わります。
忙しい保育の中では、思うようにいかずイライラしてしまうこともあります。
そんなときは、子どもを強く叱る前に「どう伝えればこの子に届くかな?」と関わり方を変えてみることも大切です。
子どもを怖がらせずに気持ちを伝える方法については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→【「怖い先生」にならない!保育士が知っておきたい叱り方のコツを見る】
どうしても自分では寝てくれないときは?
いろいろ試しても寝てくれないことはあります。
そんなときに「自分の保育が悪い」と抱え込む必要はありません。
寝かしつけが上手な保育士を観察する
ほかの保育士だとすぐ眠るのであれば、その先生が何をしているのか観察してみましょう。
例えば、
- どこをトントンしているか
- どのくらいの速さか
- 子どもとの距離
- 声をかけているか
- どんな体勢で寝ているか
などです。
家庭での寝かしつけ方法を確認する
園ではなかなか寝ない子でも、家庭では決まった入眠パターンがあるかもしれません。
保護者との日常的なやり取りの中で、
「お家ではどんなふうに寝ていますか?」
と確認してみるのも参考になります。
ただし、家庭と園では環境が違うため、まったく同じ方法にする必要はありません。
保育士同士で寝かしつけ方法を共有する
「○○ちゃんは背中よりお尻をトントンすると落ち着く」
「最初は触らず、横にいる方が寝やすい」
など、保育士同士で情報を共有すると寝かしつけが楽になることがあります。



一人で正解を探すより、園全体でその子に合った方法を探していく方がよいでしょう。
寝かしつけに限らず、子どもによって安心できる関わり方や苦手なことは違います。
大切なのは、「みんなと同じようにできない」と考えるのではなく、
その子がどんなことに困っているのか、
どんな関わり方なら安心できるのかを考えてみることです。
発達や特性が気になる子への具体的な関わり方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→【発達が気になる子の保育はどうする?特性に合わせた関わり方を見る】
「自分は寝かしつけが下手」と決めつけない
これが一番伝えたいことです。
ほかの先生なら寝るのに、自分が担当すると泣かれる。
そんな経験が続くと落ち込みますよね。
でも、子どもとの関係やその日の体調、気分などによって寝かしつけは変わります。
昨日できなかったことが、関係が深まることで自然にできるようになることもあります。
「寝かしつけができない保育士」と決めつけるのではなく、
「この子が安心できる方法をまだ探している途中」
くらいに考えてみましょう。



寝かしつけが保育のすべてではないケロ☆
年齢によって寝かしつけ方は変えた方がいい?
寝かしつけは、その子の年齢や発達によっても変わります。
0〜1歳頃
まだ言葉で気持ちを伝えることが難しい時期なので、表情や体の動きなどをよく観察します。
眠りに関する安全面については園のルールや国・自治体等の指針を確認し、決められた方法を優先してください。
2〜3歳頃
自分の意思がはっきりしてきて、
「寝たくない!」
と意思表示することも増えてきます。
無理に寝かせようとするより、
「横になって少し休もうか」
「絵本を読みながらゴロンしようか」
など、気持ちを受け止めながら午睡へ移れるようにします。
4〜5歳頃
必要な睡眠時間には個人差があり、昼寝をしなくても過ごせる子も出てきます。
園の方針を基本としながら、一人ひとりの生活リズムや様子に合わせて対応することが大切です。
まとめ│寝かしつけは「寝かせる」より「安心して休める」を意識しよう


保育士の寝かしつけを嫌がられると、
「自分だけできない」
「保育士なのに寝かしつけが下手」
と落ち込んでしまうことがあります。
しかし、子どもが寝ない理由は一つではありません。
寝かしつける保育士との関係、その日の体調、眠気、好きな体勢や触れ方など、さまざまな要素があります。
私自身、病児保育で毎日のように違う子どもたちと関わる中で大切にしているのは、
焦らないこと。
「寝なくてもかまわないよ」という気持ちで寄り添うこと。
子どもと波長を合わせること。
そして、呼吸や体勢、トントンのリズムなどを観察しながら、いろいろな方法を試してみることです。
寝かしつけには、すべての子に通用する一つの正解があるわけではありません。
「どうしたら寝かせられる?」だけではなく、
「どうしたらこの子が安心して休める?」
という視点で向き合ってみてください。
子どもの小さなサインが、少しずつ見えるようになってくると思います。









