「給食の時間になると、なんだか表情がかたくなる子がいる」
「残してもいいのか、それとも励ましたほうがいいのか迷う…」

全部食べさせるのが必ずしも正解じゃないこともあるんじゃ・・
毎日の保育の中で、こんなふうに悩んだことはありませんか?



一度は皆さん悩んだ経験があるのでは?
子どもにとって給食は、本来なら楽しい時間のはず。
でも実は、その時間が強いストレスになっている子がいる可能性もあります。
最近よく耳にする「会食恐怖症」という言葉。
「自分の声かけは大丈夫かな?」
「知らないうちにプレッシャーをかけていないかな?」
そんなふうに子どもの心を大切にしたいと考えている保育士さんにこそ、読んでいただきたい内容です。
この記事がおすすめな人
- 給食の食べさせ方に悩んでいる保育士さん
- 「完食指導は本当に必要?」と疑問を感じている先生
- 給食の時間に泣いたり固まったりする子が気になっている方
- 子どもの心を守りながら食育をしたいと考えている方
この記事を読むとこうなる
- 会食恐怖症がどのくらいの割合でいるのか理解できる
- 子どもが発症するきっかけがわかる
- 給食指導で気をつけるべきポイントが具体的にわかる
- 明日から実践できる声かけや対応方法が身につく
給食の時間が、子どもにとって「安心できるひととき」になるように。
一緒に考えていきましょう。
会食恐怖症は何人に一人?基本知識を知ろう


「会食恐怖症って、実際どのくらいいるの?」
まずはここをしっかり理解しておくことが、保育現場での対応を考える第一歩です。
なんとなく「珍しい症状」というイメージを持たれがちですが、実はそうとも言い切れません。
ここでは、会食恐怖症の基礎知識とあわせて、割合や背景をもう少し詳しく見ていきましょう。
会食恐怖症とはどんな状態?
会食恐怖症とは、人前で食事をすることに強い不安や恐怖を感じる状態を指します。
医学的には、社交不安症(SAD)の一症状としてあらわれることが多く、
- 人にどう見られているかが過度に気になる
- 失敗したらどうしようと強く不安になる
- 恥をかくことを極端に恐れる
といった心理が背景にあります。
子どもの場合は、こんな形であらわれることがあります。
- 給食の時間になると無口になる
- 食べる直前に「おなかが痛い」と言う
- 極端に食べる量が少ない
- みんなより遅いことを気にして焦る
「好き嫌いが多い子」と見えても、実は“見られながら食べること”そのものが怖いケースもあるのです。



知らないと大きな誤解が生まれちゃいますね・・!
会食恐怖症は何人に一人?
「会食恐怖症 何人に一人?」という疑問についてですが、会食恐怖症単体の正確な統計は多くありません。
しかし、背景にある社交不安症は、日本ではおよそ10人に1人前後が生涯で経験するとされています。
その中で「人前で食べること」に強い苦手意識を持つ人は一定数存在します。
つまり――
- クラス30人なら、数人は“強い不安傾向”を持つ可能性がある
- 診断がつかないグレーゾーンも含めれば、さらに多い可能性がある
ということです。
保育園や幼稚園のクラスの中に、給食が毎日ストレスになっている子がいても決して不思議ではありません。



気づいていないだけで、あなたのクラスにもいるかも・・
診断されていない子どもも多い
ここで大切なのは、「診断=存在」ではないということです。
会食恐怖症は、
- 本人が言葉で説明できない
- 周囲が気づきにくい
- 「ただの偏食」と誤解されやすい
という特徴があります。
特に幼児期は、
- 自分の不安をうまく言葉にできない
- 「怖い」よりも「お腹が痛い」と表現する
- なんとなく給食が嫌になる
といった形であらわれます。
そのため、正式な診断を受けていなくても、
“会食に強い不安を抱えている子”は思っている以上にいる可能性があります。
なぜ近年注目されているの?
最近になって会食恐怖症が注目されている背景には、次のような理由があります。
- 大人になってから「自分は会食恐怖症だった」と気づく人が増えた
- SNSで体験談が共有されるようになった
- 厳しい完食指導のトラウマが語られるようになった
「昔は当たり前」とされていた指導が、実は子どもにとって大きなプレッシャーだった――
そんな振り返りの声が広がっています。
だからこそ今、保育現場でも
- 完食をゴールにしない
- 子どもの気持ちを優先する
という視点が大切にされ始めています。
保育士が“割合”を知る意味
「何人に一人か」を知ることは、数字そのものよりも、“他人事ではない”と気づくために重要です。
もしクラスの中に、
- 給食の時間に緊張している子
- 量を見ただけで固まる子
- 食べ終わるまで顔が強ばっている子
がいるなら、それは怠けでもわがままでもありません。
もしかすると、不安と戦いながら食べているのかもしれない。
その視点を持つことが、子どもの心を守る第一歩になります。



決めつけるのではなく、いろんな可能性を考えてみましょう!
子どもが会食恐怖症を発症するきっかけ


「どうして給食が怖くなってしまうの?」
ここを理解することは、予防にも早期対応にもつながります。
会食恐怖症は、ある日突然生まれるわけではありません。
小さなストレスや体験の積み重ねが、少しずつ「食事=不安」というイメージを作っていきます。



保育現場で起こりやすいきっかけを具体的に見ていきましょう。
完食の強制がプレッシャーになることも
「一口だけ食べてみようか」
「頑張れば食べられるよ」
励ましのつもりの声かけでも、子どもによっては大きなプレッシャーになることがあります。
特に、
- 残すと注意される
- 昼休みまで居残りになる
- みんなが遊んでいる中で一人だけ食べ続ける
といった経験は、強いストレス体験になります。
子どもの頭の中では、
食べられない=怒られる
食べられない=みんなと違う
という学習が起こります。
これが繰り返されると、「給食の時間そのもの」が怖いものに変わっていきます。
人前での恥ずかしい体験
会食恐怖症の根底には、「どう見られているか」への強い不安があります。
例えば・・
- 食べるのが遅いと笑われた
- こぼしてしまい、みんなの注目を浴びた
- 「まだ食べてるの?」と大きな声で言われた
こうした経験は、子どもにとって強烈な出来事です。
大人にとっては些細なことでも、
子どもにとっては「みんなに見られた」「恥ずかしかった」という強い記憶として残ります。
その結果・・
また失敗したらどうしよう
みんなに見られるのが怖い
という予期不安が生まれます。
嘔吐・えずき体験がトラウマになる
特に注意が必要なのが、吐いてしまった経験です。
- 嫌いなものを無理に飲み込んでえずいた
- 給食中に体調不良で吐いた
- 周囲が騒ぎになった
このような体験は、強いトラウマになりやすいです。
子どもの中では、
食べる=吐くかもしれない
という結びつきができてしまいます。
すると・・
- 食事前からお腹が痛くなる
- においだけで気持ち悪くなる
- 口に入れるのが怖くなる
といった反応が出ることがあります。
これは意志の弱さではなく、身体が危険を避けようとする自然な反応です。
感受性や気質の影響
すべての子どもが同じ経験で同じ反応をするわけではありません。
特に・・
- 繊細で人目を気にしやすい
- 真面目で「ちゃんとしなきゃ」と思いやすい
- 失敗を強く引きずる
といった気質を持つ子は、不安を抱えやすい傾向があります。
周囲からは「いい子」「頑張り屋さん」に見えることも多く、不安に気づかれにくいという特徴もあります。
大人の何気ない一言
「みんな食べてるよ」
「それくらい頑張ろう」
「好き嫌いはダメだよ」
悪気のない言葉でも、子どもによっては
できない自分はダメなんだ
と受け取ってしまうことがあります。
特に集団の中では、比較の構図が自然に生まれやすいため注意が必要です。
積み重ねが「恐怖」に変わる
大切なのは、一度の出来事ですぐに会食恐怖症になるわけではないということです。
- 少し嫌だった
- ちょっと恥ずかしかった
- 少し無理をした
こうした“小さなストレス”が積み重なることで、
給食の時間が近づくとドキドキする
朝から気が重い
といった状態へ変わっていきます。
だからこそ、早い段階で気づき、
「この子にとって安心できる食事環境は何だろう?」と考えることがとても大切です。
余談ですが・・実際に会食恐怖症になった子供のこと



ここで少し私の知っている子の話を・・
私が「会食恐怖症」について記事を書こうと思ったのは、実際に幼稚園の給食が原因で高校生になっても人前で食事が取れなくなった子を知っているからです。
幼稚園でうちの子と同じクラスだったお友達。
お母さんとも会えば話す関係でした。
もともと少食で偏食もあったその子。
給食もゆっくり、残食も多かったようです。
年長のときの担任の給食指導がとても厳しかったようで、ひとり廊下に出されてご飯を食べることもあったと後に聞きました。
給食への苦手意識。
人前で食事をとることへの抵抗感。
それらが小学校に入ってからもなくなることはなく、給食の時間にお母さんが学校に行って別室で一緒に食事をとるなど、大変なご苦労をされている姿を目にしたこともありました。
高校生になった今も、その子が外で食事をとることはありません。
高校でもお弁当は別室で食べているようです。
幼い時の給食のトラウマが、いかに子どもの心に深く刻まれているのか・・改めて保育士としてその罪の大きさを考えさせられます。
園の方針が合わず悩む保育士さんへ
方針が合わないと感じたら、環境を見直すのも一つの選択です。


保育士が給食指導で気をつけたいポイント


ここまで読んで、「気をつけたいのは分かったけど、現場ではどうすればいいの?」と感じている先生も多いかもしれません。
給食は毎日ある活動です。
理想論だけでは回りませんよね。



現実的な対応を知りたいですよね!
だからこそ大切なのは、“完璧”を目指すのではなく、視点を少し変えること”です。
ここでは、明日から実践できる具体的なポイントを詳しくお伝えします。
完食をゴールにしない
まずいちばん大切なのは、「全部食べること」を最終目標にしないことです。
給食の目的は、
- 必要な栄養をとること
- 食への興味を育てること
- 楽しい雰囲気の中で食事をすること
「完食」はその結果のひとつであって、絶対条件ではありません。
例えば
- 最初から量を少なめに盛る
- 「今日はこれだけ食べられたね」と達成を認める
- 苦手なものは“においをかぐだけ”から始める
など、ハードルを下げる工夫が有効です。
みんなの前での指摘は避ける
集団生活ではつい、
「〇〇ちゃん、まだ残ってるよ」
「△△くんはもう食べ終わったよ」
と言ってしまいがちです。
しかしこれは、
比較+注目というダブルのプレッシャーになります。
注意や声かけが必要なときは、
- そっと近づいて小声で
- 目線を合わせて穏やかに
- 周囲に聞こえないように
を意識しましょう。
“守られている”と感じられるだけで、子どもの安心感は大きく変わります。
食べるペースを尊重する
食事のスピードは、本当に個人差が大きいものです。
- よく噛む子
- 慎重に食べる子
- 会話が楽しくてゆっくりになる子
さまざまです。
時間内に食べ終わらせることを強く意識しすぎると、
早くしなきゃ
遅いと怒られる
という焦りが生まれます。
焦りは、消化機能や食欲にも影響します。
可能な範囲で、
- 食べ終わりの時間に幅を持たせる
- 最初の盛り付け量を調整する
- 途中で量を減らせる選択肢を作る
といった配慮ができると理想的です。
「選べる」環境をつくる
強制は不安を強めますが、選択肢は安心感を生みます。
例えば・・
- 量を自分で決められる
- 食べる順番を選べる
- 一口にするかどうかを相談できる
など、「自分で決められる感覚」があると、コントロール感が生まれます。
不安が強い子ほど、「自分で決められない状況」に弱い傾向があります。
小さな選択肢が、大きな安心につながります。
「食べない理由」を探ろうとしすぎない
つい、
「なんで食べられないの?」
「どうして?」
と理由を聞きたくなりますよね。
でも、不安が背景にある場合、子ども自身も理由をうまく説明できません。
問い詰めるよりも、
「今日はちょっと難しい日かな」
「無理しなくて大丈夫だよ」
という受け止めの姿勢のほうが効果的なことがあります。



問い詰めたりイラだって声かけするのはNG!
保護者と同じ方向を向く
園では配慮していても、家庭で
- 「残さず食べなさい」
- 「先生に言われるよ」
と強く言われていると、子どもは板挟みになります。
大切なのは、
- 園の方針を共有する
- 子どもの様子を具体的に伝える
- 不安が見られる場合は一緒に考える
という連携です。
「園でも家でも安心できる」状態を目指しましょう。
子どもを会食恐怖症にさせないためにできること


ここまで読んでくださった保育士さんは、きっと
「できることがあるなら知りたい」
「未然に防げるなら防ぎたい」
と思っているはずです。
会食恐怖症は、環境づくり次第でリスクを減らせる可能性があります。
特別な専門知識よりも、日々の小さな関わりがとても大切です。



保育士のかかわりがいかに大切かがわかりますね!
ここでは“予防”の視点でできることを詳しく見ていきましょう。
「食べられない日があってもいい」と伝える
子どもにとっていちばん安心できるのは、
食べられなくても大丈夫
というメッセージです。
例えば、
- 「今日はちょっと難しい日かな?」
- 「一口チャレンジできただけでもすごいね」
- 「また今度トライしようね」
こうした言葉は、子どもの自己肯定感を守ります。
反対に、
- 「どうして食べられないの?」
- 「みんなできてるよ」
という言葉は、不安を強めてしまいます。
“食べられない=悪いこと”という認識を持たせないことが予防の第一歩です。
比較しない文化をつくる
集団生活では、どうしても比較が起こります。
- 早く食べられる子
- 何でも食べられる子
- おかわりをする子
でも、それぞれ体質も個性も違います。
クラス全体に向けて、
- 「食べる量は人それぞれだよ」
- 「お腹の感じもみんな違うよ」
と日頃から伝えておくことで、
“違いがあって当たり前”という空気をつくることができます。
給食を「評価の場」にしない
給食の時間が、
- できた・できないを評価される時間
- 叱られる可能性のある時間
になってしまうと、子どもは常に緊張します。
理想は、給食を
「安心して過ごせる生活の一部」
にすることです。
そのためには、
- 食事中はなるべく注意を減らす
- できない点よりもできた点を見る
- 雰囲気づくりを重視する
ことがポイントです。
楽しい会話や穏やかな空気は、それだけで大きな予防効果があります。
不安サインを見逃さない
会食恐怖症につながる前段階では、こんなサインが見られることがあります。
- 給食前にお腹が痛いと言う
- メニューを見て表情が曇る
- 食事中に固まる
- 極端に量を減らしたがる
これらは「甘え」ではなく、不安のサインかもしれません。



日ごろからしっかりコミュニケーションをとっていれば気づけるはずです!
早い段階で、
- 量を調整する
- 個別に声をかける
- プレッシャーを減らす
ことで、悪化を防げる可能性があります。
必要に応じて専門機関につなぐ
もし、
- 強いパニック反応がある
- 家庭でも食事が困難
- 体重減少や極端な拒否が見られる
場合は、専門機関の力を借りることも大切です。
背景には、
- 強い不安傾向
- 発達特性
- 感覚過敏
などが関係していることもあります。
園だけで抱え込まず、保護者と一緒に考える姿勢が大切です。
保育士の“安心感”がいちばんの予防
実は、いちばんの予防は
保育士さん自身のまなざしかもしれません。
- 「この子にはこの子のペースがある」
- 「食べる量で価値は決まらない」
そう心から思えていると、言葉や態度にも自然とあらわれます。
子どもはとても敏感です。
大人の焦りやイライラも感じ取ります。
だからこそ、完璧な指導よりも、
“安心できる先生であること”が何より大切です。
まとめに向けて
「会食恐怖症 何人に一人?」という疑問から始まったこの記事ですが、
大切なのは数字そのものよりも、
- クラスの中に不安を抱えている子がいるかもしれない
- その子を守れるのは、毎日関わる大人かもしれない
という視点です。
給食は、ただの栄養補給の時間ではありません。
心の安全基地になれるかどうかが、未来の食体験を左右します。
明日の給食の時間、ほんの少しだけ“安心”を増やしてみませんか?
その積み重ねが、子どもたちのこれからの人生をやさしく支えていきます。
まとめ|給食は「心を守る時間」


「会食恐怖症 何人に一人?」という疑問の答えは、決して他人事ではない数字です。
社交不安の傾向を持つ人は決して少なくなく、クラスの中に“給食が強いストレスになっている子”がいる可能性は十分にあります。
会食恐怖症は、
- 完食の強制
- 人前での羞恥体験
- 吐いてしまった経験
- 繊細な気質への配慮不足
といった小さな積み重ねから生まれることがあります。
だからこそ保育現場では、
- 完食をゴールにしない
- みんなの前で比較しない
- 食べるペースを尊重する
- 「食べられない日もある」と伝える
といった関わりが大切です。
給食は、栄養をとる時間であると同時に、子どもの心を育てる時間でもあります。
明日の給食から、
「この子は安心しているかな?」という視点を少しだけ意識してみてください。
その積み重ねが、子どもたちの未来の食卓をやさしく守ることにつながります。










