今回のテーマ、
「病児保育はかわいそうなのか?」です!

病気のときまで子供を預けて仕事ってひどいかな。
罪悪感を感じちゃう・・



職場の人に、病児保育に預けるなんて子供がかわいそうって言われちゃった・・
病児保育を利用するとき、このような罪悪感を抱く保護者の方は少なくありません。
そしてその葛藤、一人で抱えてつらい気持ちになっていませんか?
私は30代で保育士になり、現在は小児科で病児保育士として働いています。
実際に子どもたちを預かっている立場からお伝えしたいのは、「病児保育に預ける=かわいそう」とは限らないということです。
朝、お母さんやお父さんと離れるときに大泣きしていた子が、しばらくすると保育士に抱っこを求めたり、笑顔で遊んだり、お昼寝したりすることも珍しくありません。
もちろん、体調や性格によって過ごし方は一人ひとり違います。
だからこそこの記事では、「かわいそうじゃない」と一方的に言い切るのではなく、病児保育で実際に子どもたちがどのように過ごしているのかを、現役病児保育士の経験からお伝えします。
病児保育を利用することへの罪悪感や不安がある方は、ぜひ参考にしてください。



あなたがもっと楽に、安心して子育てと向き合えるヒントが見つかるはずです。
なぜ「病児保育=かわいそう」と感じてしまうのか


病児保育を利用するたびに、
「かわいそうだったかな」
「本当は自分が看てあげるべきだったかも」
と胸が痛くなる。
そんな気持ちになる保護者の方は少なくありません。
病気でいつもより元気がない子どもを見ると、「こんなときくらい一緒にいてあげたい」と思うのは自然なことです。
それでも仕事や家庭の事情から、どうしても自宅で看病できないこともありますよね。
では、なぜ病児保育を利用すると、これほど「かわいそう」という気持ちが強くなってしまうのでしょうか。
病気のときは親が看るべきと思ってしまう
「子どもが病気のときは、親がそばにいて看病するべき」
こんな“理想の親像”を、知らず知らずのうちに自分に押しつけていませんか?



この思想に苦しめられるお母さんは多いはず・・
働いていても、
「体調が悪い子どもを預けてまで仕事に行くなんて……」
という周囲の目が気になることもあります。
しかし、家庭によって状況は違います。
仕事を何日も休むのが難しい家庭もあれば、近くに頼れる祖父母や親族がいない家庭もあります。
仕事をして生活を支えることも、子どもや家族のためにしていることです。
「病気になったら必ず親が仕事を休まなければいけない」と自分を追い詰めるのではなく、必要なときに病児保育という選択肢を利用すると考えてみてもよいのではないでしょうか。
「他の親はどうしてるの?」と比べてしまう
周囲の家庭と比べることで、罪悪感が強くなることもあります。
例えば、SNSなどで、
「今日は子どもの看病で仕事を休みました」
という投稿を見ると、
「私は仕事を優先してしまった……」
と思ってしまうこともあるでしょう。



落ち込んじゃうことも・・
でも、仕事の状況、家族構成、周囲のサポート、子どもの体調など、家庭によって条件はまったく違います。
他の家庭にとってベストな方法が、自分の家庭にもベストとは限りません。
「ほかの家庭はどうしているか」ではなく、「今のわが家にはどんな方法が必要か」
で考えてみることが大切です。
預けるときに子どもが泣くと罪悪感が強くなる
私が病児保育で保護者の方と接していて、特につらそうだと感じるのが朝のお別れです。
子どもが、
「ママ!」
「帰りたい!」
と泣いている。
そんな姿を残して仕事へ向かうのですから、
「やっぱり預けない方がよかったかな……」
と思ってしまうのも無理はありません。
保護者の方が最後に見るのは泣いている子どもの姿。
そのため、その後もずっと泣いているように感じてしまうかもしれません。
しかし、保護者の方が帰ったあとに見せる子どもの姿は、それだけではありません。
ここからは、私が実際に病児保育で見てきた子どもたちの様子をお話しします。
【現役病児保育士の体験】預けるときに泣いた子はその後どうなる?
「朝あんなに泣いていたけれど、一日中泣いていたのかな?」
病児保育を利用した保護者の方にとって、とても気になることだと思います。
実際、病児保育に来たときに激しく泣く子どもは珍しくありません。
普段通っている保育園や幼稚園とは違い、
- 知らない場所
- 知らない保育士
- いつものお友達もいない
- しかも体調が悪い
という状況です。
大人でも不安になりますよね。



小さな子どもなら、なおさら不安ケロ・・
保護者と離れるときに泣く子は珍しくない
お母さんやお父さんと離れるときに激しく泣く子はたくさんいます。
特に初めて利用する子は、最初から保育士に心を開いてくれるとは限りません。
抱っこしようとしても拒否したり、声をかけてもまったく話してくれなかったりすることもあります。
私たちも、そんなときに無理やり遊ばせようとはしません。
体調やその子の様子を見ながら、
「ここにいるよ」
「大丈夫だよ」
という気持ちで、少しずつ距離を縮めていきます。
時間が経つと少しずつ保育士を頼ってくれることも
子どもって本当にすごいな、と病児保育をしていて感じることがあります。
まだ言葉をうまく話せない小さな子どもでも、自分が置かれている状況をその子なりに理解していきます。
最初は抱っこを拒否していた子が、時間が経つと自分から抱っこを求めてきたり、
「お茶」
「これがしたい」
など、自分の要求を伝えてくれるようになることがあります。
最初は警戒していた保育士を、少しずつ「今、自分のそばにいてくれる大人」として頼ってくれるようになるんですね。
そして安心できる関係が少しずつできてくると、絵本を見たり、静かなおもちゃで遊んだり、お昼寝をしたりして過ごせるようになる子もいます。
もちろん、これはすべての子に当てはまるわけではありません。
「預ければすぐに泣き止むから大丈夫」とも言い切れません。



子どもの年齢や性格、その日の体調によって過ごし方は違います。
お母さんやお父さんを思い出して泣くこともある
一度落ち着いたからといって、その後まったく寂しくならないわけではありません。
遊んでいる途中や、お昼寝から目が覚めたときなどに、突然お母さんやお父さんを思い出して涙が出てしまうこともあります。
そんなときは抱っこをしたり、好きな遊びに誘ったりしながら、その子が少しでも安心できるように関わります。
病児保育士として働いていると、朝はずっと泣いていた子の笑顔が初めて見られた瞬間は、本当にうれしいものです。
一方で、一日を通して不安そうに過ごす子もいます。
だから私たちは、
「泣かせないこと」ではなく、「不安な気持ちを受け止めながら、その子が少しでも安心して過ごせること」
を大切にしています。
お迎えのときに一日の様子を聞いてみて
朝泣いていた子どもの姿だけを見て仕事へ行くと、
「きっと一日中泣いていたんだろうな」
と思ってしまいますよね。
そんなときは、お迎えの際に保育士へ一日の様子を聞いてみてください。
例えば、
「泣いたのはどのくらいでしたか?」
「何をして遊びましたか?」
「ご飯や水分はとれましたか?」
「お昼寝はできましたか?」
などを聞いてみると、その日の子どもの様子が分かります。
朝は大泣きしていても、
「その後は絵本を見ていましたよ」
「お昼ご飯を食べて、ぐっすり眠れましたよ」
と聞けば、次に利用するときの不安も少し小さくなるかもしれません。
▼病児保育では実際にどのような流れで一日を過ごすのか、初めて利用する方はこちらの記事も参考にしてください。
病児保育は「かわいそう」じゃない3つの理由





病児保育で子どもが過ごせることは分かったけれど、やっぱり病気のときくらい家にいた方がいいのでは?
そう感じる方もいるでしょう。
もちろん、保護者の方が仕事を休めて、自宅でゆっくり看病できるのであれば、それも一つの選択です。
一方で、それが難しい家庭のために病児保育があります。
「自宅で看病するか、病児保育を利用するか」のどちらが絶対に正しいということではありません。
家庭の状況や子どもの体調に合わせて選べることが大切です。
①体調不良の子どもを受け入れるための環境がある
病児保育は、体調不良の子どもを預かることを前提とした保育です。
通常の保育園のように、元気な子どもたちと同じ活動をする場所ではありません。
施設によって体制は異なりますが、子どもの体温や体調の変化を確認しながら、その日の状態に合わせて保育を行います。
医療機関に併設されている病児保育室や、看護師と連携している施設などもあります。
私が働いている小児科の病児保育でも、子どもの体調を確認しながら、その日にできることを考えています。
「病気なのに普通の保育園と同じように一日中遊ばせられる」
という場所ではありません。



なるべく静かに過ごせるよう配慮しています。
②子どもの体調に合わせて無理なく過ごせる
病児保育では、その日の体調に合わせて過ごします。
元気がある子なら静かな遊びを楽しむこともありますし、しんどそうなら横になったり、お昼寝をしたりします。
私も保護者の方から、
「家では熱があるのに走り回ってしまって……」
と聞くことがあります。
子どもは少し体調がよくなると、家ではいつもの調子で動いてしまうことがありますよね。
病児保育では、体調を見ながら絵本や静かな遊びなどを取り入れ、無理をしすぎないように過ごせる環境を整えます。
ただし、どの程度の症状まで受け入れられるかは施設によって異なります。
利用前には、その施設の受け入れ基準を確認してください。
③保護者が無理をしすぎないための選択肢にもなる
子どもが病気になるたびに仕事を休めればいいのですが、現実には難しい場合もあります。
何日も休みが続けば、
「また職場に連絡しないと……」
「仕事がたまっている」
「周りに迷惑をかけているかも」
と精神的に追い詰められてしまう人もいるでしょう。
そんなとき、病児保育を利用できれば、
「どうしても仕事を休めない日はお願いする」
という選択肢ができます。
病児保育は「仕事を優先するために子どもを我慢させる場所」と考える必要はありません。
仕事や家庭の事情で自宅看護が難しいときに、子どもが安全に過ごせる場所を確保するための選択肢の一つです。
保護者が無理を重ねて心身ともに疲れ切ってしまえば、子どもが回復したあとにも影響してしまいます。



必要なときに誰かの力を借りることも、家庭を守るための方法の一つだと私は思います。
「そもそも病児保育はどんなサービス?」「どんなときに利用できる?」という方は、病児保育の利用条件や仕組みについてこちらで詳しく解説しています。
病児保育への罪悪感を減らすためにできること


病児保育を利用すると決めても、
「本当にこれでよかったのかな」
「子どもに我慢させてしまったかな」
と、気持ちが揺れることはあると思います。
私が病児保育で保護者の方と関わっていて感じるのは、罪悪感を完全になくす必要はないということです。
それだけ子どものことを大切に思っているからこそ、迷ったり不安になったりするのだと思います。
そのうえで、少しでも安心して病児保育を利用するために、できることを紹介します。



お子さんの負担や保護者の方の不安の軽減のためにできることをお伝えします。
預けると決めたら不安な表情を見せすぎない
病児保育へ連れてきたとき、子どもが泣いてしまうと、
「やっぱり連れて帰ろうかな」
「かわいそうなことをしているのかな」
と迷ってしまいますよね。
ただ、保護者の方が何度も戻ったり、不安そうな表情を見せたりすると、子どももさらに不安になることがあります。



子供は親の様子に敏感ケロ~
私が現場で見ていても、保護者の方と離れる瞬間は泣いていても、別れたあとに少しずつ気持ちを切り替えていく子は少なくありません。
預けると決めたら、
「お迎えに来るからね」
「先生と待っていてね」
など、短く声をかけて送り出してあげるのも一つの方法です。
もちろん、泣いている子を無理に引き離すという意味ではありません。
その子の様子を見ながら、保護者と病児保育士で協力して受け入れることが大切です。
可能なら慣れた病児保育施設を利用する
利用できる施設を毎回自由に選べるとは限りませんが、可能であれば、以前利用したことのある病児保育施設を選ぶのも一つの方法です。
何度か利用するうちに、
「この場所に来たことがある」
「この先生を知っている」
という経験が子どもの安心につながることがあります。
私たち病児保育士にとっても、何度か利用している子であれば、
「この遊びが好きだったな」
「眠るときはこうすると落ち着きやすかったな」
など、以前の様子を思い出しながら関わることができます。
ただし、予約状況や病気の種類によって、いつも同じ施設を利用できないこともあります。
そのため、
「同じ施設でなければかわいそう」
と考える必要はありません。
利用できる施設の中から、そのときの家庭状況や子どもの体調に合う場所を選べば大丈夫です。
お迎えのときに一日の様子を聞く
朝、子どもが泣いている姿を見て仕事へ行くと、
「今日ずっと泣いていたんじゃないかな」
と心配になりますよね。
そんなときは、お迎えの際に一日の様子を聞いてみてください。
例えば、
- どのくらいで落ち着いたか
- 何をして遊んだか
- 食事や水分はどのくらい取れたか
- お昼寝はできたか
- 体温や症状はどう変化したか
などです。
実際の様子を知ることで、
「朝は泣いていたけれど、その後は落ち着いて過ごせたんだ」
と分かり、次回利用するときの不安が少し減ることもあります。
朝の別れ際の姿だけでは、その子の一日すべては分かりません。
病児保育士からその日の様子を聞いて、子どもがどんなふうに過ごしていたのか知ることも大切です。



保護者と病児保育士がコミュニケーションをしっかりとることも、安心して利用するためには重要です。
帰宅後は安心できる時間を作る
病児保育を利用した日は、帰宅後に子どもとゆっくり過ごせる時間があれば、できる範囲で作ってあげましょう。
「今日は頑張ったね」
「お迎え待っていてくれてありがとう」
と声をかけたり、抱っこをしたりするだけでも十分です。
特別なことをしなければいけないわけではありません。
病気の子どもは、それだけでいつもより不安になりやすいものです。
病児保育を利用したことを「かわいそうなことをした」と考えるより、帰宅後に安心できる時間を作ることに気持ちを向けてみてください。
病児保育を「かわいそう」と感じる人のよくある疑問
病児保育を利用する前後は、さまざまな不安が出てくると思います。
ここでは、病児保育を「かわいそう」と感じている保護者の方からよく聞かれそうな疑問を、現役病児保育士としての経験も交えながら紹介します。
朝、子どもが泣いていても預けて大丈夫?
朝に泣いてしまう子は珍しくありません。
特に初めて利用する施設では、
「知らない場所」
「知らない保育士」
「体調が悪い」
という条件が重なっているため、不安になるのは自然なことです。
ただ、保護者の方が帰ったあと、少しずつ気持ちを切り替えて過ごせるようになる子もたくさんいます。
一方で、一日を通して不安そうに過ごす子もいます。
「泣いている=絶対に預けない方がいい」と一律に判断するのではなく、子どもの体調や年齢、施設の受け入れ体制などを考えながら判断しましょう。
病児保育では一日何をして過ごすの?
病児保育では、子どもの体調に合わせて一日を過ごします。
元気がある場合は、絵本を読んだり、静かなおもちゃで遊んだりすることもあります。
体調がすぐれない場合は、横になったり、お昼寝をしたりしてゆっくり過ごします。



通常の保育園のように、決まった活動を全員でこなす場所ではないケロ。
その日の体調を見ながら、無理のない過ごし方を選びます。
仕事を休めないという理由で利用してもいい?
病児保育は、仕事や家庭の事情などで自宅看護が難しいときに利用するための選択肢の一つです。
「仕事を休めないから利用するのは悪いこと」
と考える必要はありません。
ただし、利用条件や対象となる病気、受け入れ可能な症状は施設によって異なります。
実際に利用できるかどうかは、各病児保育施設のルールを確認してください。
病気の子どもを一人で留守番させるより病児保育を利用した方がいい?
年齢や体調によっても異なりますが、病気の子どもは症状が急に変化する可能性があります。
特に小さな子どもを一人で長時間留守番させることには注意が必要です。
どうしても自宅で看病する人がいない場合は、病児保育や家族・親族など、子どもの様子を見られる大人に頼れる方法を検討しましょう。
病児保育を利用できるかどうかは、施設の受け入れ基準や予約状況によって異なります。
毎回同じ病児保育施設を利用した方がいい?
必ず同じ施設を利用しなければいけないわけではありません。
ただ、子どもによっては、以前利用したことのある場所や知っている保育士がいることで安心しやすくなる場合があります。
一方で、予約状況や対応できる病気によっては、別の施設を利用する必要もあります。
「いつも同じ施設でなければかわいそう」と考えすぎず、そのとき利用できる施設の中から選んで大丈夫です。
病児保育を嫌がる場合はどうしたらいい?
子どもが病児保育を嫌がる理由はさまざまです。
「知らない場所だから怖い」
「お母さんやお父さんと離れたくない」
「体調が悪くて機嫌が悪い」
などの場合もあります。
まずは何を嫌がっているのか、子どもの年齢に合わせて気持ちを受け止めてあげましょう。
施設によっては事前登録時に見学できる場合もあります。
利用する可能性がある施設について、元気なうちに場所や利用方法を確認しておくと、保護者自身の安心にもつながります。
病児保育はすべての病気・症状で利用できるわけではありません。
利用前に確認しておきたい「預かれない病気」についてはこちらで詳しく解説しています。


まとめ|病児保育を利用することだけで「かわいそう」と決めなくていい


子どもが病気のときに病児保育へ預けることに、罪悪感を抱く保護者の方は少なくありません。
特に、朝に子どもが泣いている姿を見ると、
「かわいそうなことをしているのでは?」
と思ってしまいますよね。
私自身、病児保育士として多くの子どもたちを見ていますが、朝は激しく泣いていても、その後少しずつ保育士を頼ってくれたり、遊んだり、お昼寝をしたりして過ごせるようになる子もいます。
一方で、不安そうに過ごす子や、途中でお母さんやお父さんを思い出して泣く子もいます。
だからこそ、病児保育を利用することを単純に「かわいそう」「かわいそうじゃない」と決める必要はないと思います。
大切なのは、子どもの体調や家庭の状況に合わせて、そのとき利用できる方法を選ぶことです。
仕事を休んで自宅で看病するのも一つの方法。
病児保育を利用するのも一つの方法。
どちらかだけが正解ではありません。
病児保育を利用すると決めた日は、病児保育士に子どもの様子を伝え、お迎えのときに一日の様子を聞いてみてください。
そして帰宅したら、できる範囲で子どもとゆっくり過ごしてあげてくださいね。
病児保育が、子どもと家族の両方を支える選択肢の一つになればうれしいです。







